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2007.01.18

エコの矛先

年末の新聞紙面で、こんな広告を見つけた。
No1_m

紙面全面を使う、かなり大きな扱いの広告だった。
調べてみると、「環境」をテーマにした新聞広告のコンテストの入選作品ということらしい。
いわく、

「しかし、スーパーでは新しい牛乳を選んで買っていませんか?
新しい牛乳から売れていくと、その分古い牛乳は売れ残ってしまいます。
日本では毎日約2000万人分の食料が、賞味期限切れなどの理由で棄てられています。
できるだけ、売り場の手前にある古い牛乳を買いましょう。
飽食や贅沢を見直すことで、食糧輸送や焼却処分費の環境負荷を減らすことができます。
ムダを減らして、CO2排出量を減らしましょう。」

ご高説、ごもっともだ。毎日、多くの食料が捨てられているという事実は動かしがたいだろう。
飲食店とかでの食べ残しが、誰の胃袋に入ることもなく廃棄されていく光景は想像に難くない。

とまあ、「エコのためにみんな協力し合いましょうよ」と一つのナルホドアイデアを提示しているように思える。
でも、待ってほしい。
確かにそうなのだが、僕が実際買い物する立場になってみりゃ、その時感じる抵抗感は案外小さくない。
この広告で特に取り上げられている「牛乳を買う」というシチュエーションを想定してみたときなんかはそれが顕著だ。

その理由は単純で、
賞味期限まで7日ある牛乳と6日しかない牛乳とでは、商品の価値が違うのである。
同じ値段であるなら、高価値の商品の方を選ぼうとするのは当然極まりない。広告のコピーが揚々と謳うような「賢い・賢くない」とかいう以前の問題だと思う。
この広告は「エコ」という印籠を振りかざしながら、消費者に「リスク(賞味期限切れの牛乳)」を自ら抱え込みなさい、と勝手に訴求している。

それは順番が違うだろう。
エコロジーのためにみんなが我慢し合いましょうね、という論理は間違ってはいない。

しかし、問題提起をする相手は、買い手にではなく、まずは売り手にであるべきじゃないか?
明らかに商品価値に差があるものを、同じ値札をつけて売ろうと試みる店がまず責めにあうべきだ。
後ろに陳列されている新しい牛乳を買おうとする客を、あたかも「賢くない」呼ばわりしようとするこの広告は、いささか傲慢だ。
「消費者はできるだけいいものを買いたいと考える」という『当たり前』をひっくり返そうだなんて策謀するより先に、売る側に対して売り切る努力をまず求めたほうが、環境広告としてよっぽど堅実で「賢い」ものであると思う。

それをしないで、いきなり「前から買え」では、説得力がない。
僕のように、「自ら進んで損をしない客はバカだと言ってる」という印象を持つ者がいたとしてもこれは仕方ないんじゃないだろうか。

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